不妊のための栄養素~鉄~

前回の亜鉛に続き、今回は「鉄」について書いていきたいと思う。

鉄欠乏の場合は不妊になるというよりも、妊娠中や産後の母体の健康状態の問題や、出産した子供の発育、発達の問題が起きやすくなるという事を認識しておいた方がいいだろう。

まず、鉄欠乏といえば貧血を思い出すが、貧血ではなくても鉄欠乏になることはある。

それが、貯蔵鉄である「フェリチン」の低下だ。

フェリチンが低下すると貧血でなくても以下のような症状がでることがある。

  • 立ちくらみ、めまい、耳鳴り
  • 疲れやすい
  • 顔色が悪い
  • 風邪にかかりやすい
  • 歯茎の出血、アザができやすい
  • 頭痛、頭重になりやすい
  • むくみがある
  • しっしんができやすい
  • 肩こり、腰痛、背部痛
  • 便秘、下痢をしやすい
  • 吐き気がする
  • 胸が痛む
  • 注意力の低下、イライラしやすい
  • ノドの不快感
  • 毛が抜けやすい
  • 寝起きが悪い
  • 食欲不振
  • 神経過敏
  • 体を動かすと動悸息切れがする
  • まぶたの裏が白い
  • 皮膚が青白く、または黄色っぽくなる
  • くしゃみ、鼻水、鼻づまり
  • 口角、口唇炎、舌のしびれと赤み
  • 爪が脆い、割れやすい(スプーンネイル)

「医師が選択した驚異の栄養療法/溝口徹」より

鉄が足りないだけで、これだけの症状が出る可能性があるのだ。おそらく、成人女性なら当てはまる項目がいくつもあるだろう。何故なら、成人女性(15~50歳)の約80%が鉄不足だというデータがあるのだ。

そして、妊娠中は胎児の発達のため母体の鉄が激減する。そのため妊娠中に貧血になる妊婦が多いのだ。

さらに、鉄不足はうつ病やパニック障害などの精神的疾患の原因のひとつともいわれていて、実際、精神科医の藤川医師は、うつ病やパニック障害の女性に鉄剤を処方して多くの患者さんを治療している。

藤川医師の書籍によると、女性が生涯最もうつ病になりやすいのが「産後」であるといわれている。その原因を、妊娠・出産により貯蔵鉄であるフェリチンが激減することによるものとされている。そうなると、 2人目、3人目を出産した後は、産後うつになりやすい傾向にあることが判ると思う。藤川医師によれば 産後うつも鉄剤の投与で改善するケースが多いようだ。

そして、先述の通り妊娠中は胎児の発達のために鉄が必要なのだが、この時に母体に鉄が不足していると、胎児の神経発達に支障が生じるため、鉄欠乏の母体から生まれた子供には、下記に示すような神経障害がみられることがある。

  • 協調運動,移動運動,言語理解と発語,視覚認知機能などの障害
  • 注意・関心の低下
  • 易興奮性
  • 異食症
  • 言語能力,視覚運動統合,微細運動などの障害
  • 言語機能,視覚認知,空間記憶,選択的注意,実行機能課題,学習面,運動面, 行動面の障害
  • 泣き寝入りひきつけ
  • レストレスレッグ症候群(むずむず足)

「小児と思春期の鉄欠乏性貧血/加藤陽子」 より

これらは、いわゆる「発達障害」の症状と言っていいだろう。

なので、子供の学習障害や発達障害は妊娠中の母体の鉄欠乏が原因なのかもしれない。子供の健全な成長を願うなら、迷わず鉄欠乏の改善に取り組むべきだ。

鉄が豊富な食材といえばレバー。レバーは鉄だけでなく、タンパク質もビタミンAも豊富なので、妊娠するにはもってこいの食材だ。そしてレバーほどではないが、赤身の肉には鉄、亜鉛、タンパク質が豊富なのでこれもまた大変おススメなら食材だ。毎日とはいわないが、レバーや赤身の肉を意識して食べていれば鉄欠乏とは無縁だろう。

ただ、レバーや赤身の肉を毎日大量に食べれる女性がどれだけいるだろうか?

これらの食材が大好きで毎日のように食べている人はまず鉄欠乏ではないだろう。問題なのはこういった食材が嫌いで食べられない人だ。

そういった人は迷わずサプリメントでの摂取を試みてほしい。

ちなみに、フェリチンは鉄とタンパク質がくっついたものなので、鉄だけでなく十分にタンパク質を摂取する必要がある。

それと、ビタミンCを食後に摂取すると、食材からの鉄の吸収を高めるので、ビタミンCも必ず摂取するようにしよう。

鉄サプリはアミノ酸でキレートされたモノを選ぶとよい。病院で処方される鉄剤よりも、胃腸に負担がなくムカムカしたり便秘になったりしない。 そして、その中でも 「フェロケル」というキレート鉄は、胃腸の負担が少なく、吸収効率も非常に高いとされている。

摂取量は、上記サプリを1日1~3個で十分だろう。できることならフェリチンを測定して、その数値を参考に摂取量を判断したほうがいいと思う。フェリチンは普通の健康診断などの項目にはないので、気になる人は医師に相談してみよう。

一応目安としては、すでにヘモグロビン(血色素量)が基準値を下回っていて、MCV(貧血の検査項目のひとつ)が低値なら迷わず3個でいいだろう。逆にMCVが高過ぎる場合は大球性貧血なので、葉酸、B12の欠乏が考えられる。これは、胃に障害がある人やベジタリアンに多いといわれている。

あとは、上記の鉄欠乏の症状がいくつも当てはまっていて、特に「まぶたの裏が白い」、「立ちくらみ」、「ノドのつかえ感」、「階段を上ると息切れ」あたりが当てはまる場合は、ほぼ間違いなく貧血なので、3個でいいと思う。ただし、鉄サプリを2~3ヵ月摂取してもまぶたの裏が赤くならなず、症状も改善しない場合は、鉄欠乏による貧血ではなく、葉酸、B12、銅、亜鉛、ビタミンEのいずれかの欠乏による貧血の可能性がある。いずれにしても、妊娠を考えているのなら一度は病院で貧血の検査したほうがいいだろう。

上記の鉄欠乏症状が全く当てはまらないし、検査の数値もいいし、フェリチンも100以上あるならあえて鉄サプリはいらないかもしれない。とはいっても、胎児の発達のためには妊娠前から鉄の多い食材はなるべく良く食べるようにしておいたほうがいいのは間違いないだろう。もしくは、上記鉄サプリを1日1個でもいいと思う。

〈参考〉

「医師が選択した驚異の栄養療法/溝口徹」

「うつ・パニックは鉄不足が原因だった/藤川徳美」

「小児と思春期の鉄欠乏性貧血/加藤陽子」

不妊のための栄養素~鉄~ への1件のコメント

  1. ピンバック : 発達障害のための栄養素~鉄~ – 船橋加圧トレーニングセンター健康スタジオ56

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